水資源の保全
基本的な考え方
住友重機械グループでは、すべての人が安全で衛生的な水を利用でき、水に関する生態系を保護し回復させることの重要性を認識しています。現在の事業活動において、大量の水や高水準の水を必要とすることはありませんが、上水、工業用水、地下水を使用し、排水しているため、水に依存し、その水量や水質に影響を受ける、あるいは影響を与えていることを十分に理解しています。
国内外の製造拠点においては、取水量と排水量を計測し、グループ全体で集計を実施しています。変動が大きい事業所については、その原因を調査し、必要に応じて対策を講じています。また、水質管理については、法令および条例の基準値よりも厳しい自主管理基準値を設定し、自主測定および外部の水質検査機関による定期的な検査を実施し、継続的なモニタリングを行っています。
引き続き、継続した管理を行うとともに、取水量や排水に含まれる可能性のある有害物質の使用削減など、環境負荷低減活動を推進します。
また、当社グループは水使用量削減に向けた外部イニシアチブとの協働として、2018年度よりCDP Waterに回答しています。
ガバナンス
当社グループ全体の環境活動マネジメントは、社長からの任命を受けた総務担当役員の下、総務本部長および環境管理部によって行われています。社長は最高責任者として住友重機械グループの環境方針を決裁し決定します。
関係会社を含む各製造拠点での管理状況は、現地の状況確認と併せて環境監査を実施し、環境マネジメント会議では活動結果の報告や問題点などを共有しています。また環境教育を通じて当社グループの環境方針や環境目標、取り組みなどを従業員に周知しています。

活動内容
- 環境監査(1回/年)
- 国内および中国・東南アジアの製造拠点を対象に環境事故防止、法令遵守、地球温暖化防止等の観点から環境マネジメント全体について監査を実施しています。
監査結果は、当社独自の評価基準で部門ごとに5段階評価した結果を執行責任者会議で報告し、レベルアップを図っています。
- 総務本部長診断(必要時)
- 総務本部長が必要と判断した部門(前年度の環境事故発生部門、環境目標が著しく未達の部門など)を対象に、「総務本部長診断」を環境マネジメント監査と併せて実施・指導しています。
- 環境マネジメント会議(2回/年)
- 国内の各製造所・関係会社を対象に「環境マネジメント会議」を開催し、活動結果の報告や問題点などを共有しています。また、中国の関係会社を対象には「中国環境マネジメント会議」を開催し、各社の環境活動のレベルアップを図っています。
- 各地区での活動
- 各地区では、地球温暖化防止、省エネ等をテーマとした地区内での会議を開催し、活動の進捗報告や事例紹介を行い、情報共有を行っています。
戦略
水リスク評価
当社グループでは、国内外の製造拠点57か所について、「WORLD RESOURCES INSTITUTE」から提供されている「AQUEDUCT」を用いて水リスク評価を行っています。
2024年度において、「Overall risk」で「High」以上の評価となった製造拠点は6か所で、当社グループ全体の取水量の約6%を占めています。
調査結果を考慮し、当社グループ全体の取水量削減、水リサイクルの推進、および豪雨や洪水などの物理リスクへの適応も含め、水リスクの低減を図っていきます。
また、サプライチェーンにおいて、原材料の調達金額の80%を占める企業に対し、水資源管理についてアンケートを通じてヒアリングを行いました。全体の約8割のサプライヤーから回答があり、そのうち約4割で目標設定や管理を既に実施している状況でした。今後は、サプライヤーへの訪問やWEB会議などを通じてコミュニケーションを深め、環境課題の共有や環境スチュワードシップの向上に努めます。
住友重機械グループの製造拠点と水ストレス(Aqueduct Water Risk Atlas)

施策
- 水質管理
- 下水道および河川、海など各々の排水基準よりも低い自主管理基準を設定し、継続的な自主測定及び定期的な第三者の分析を行うことで、排水の水質管理を行っています。
- 取水量削減
- 漏水確認及び改善、冷却水の再利用や雨水の使用などの推進を行うことで取水量の削減(水使用量削減) または効率的な水利用に取り組んでいます。
取組み事例
当社グループでは3か年ごとに環境中期計画を策定し、活動の推進を行っています。2024年度より開始した第7次環境中期計画では、環境負荷低減と併せて生物多様性を考慮し、水使用量削減及び効率的な利用や汚染防止に取り組んでいます。
- 埋設給水管の漏水確認及び修繕
- 雨水を貯留し緑地への潅水に利用
- クーリングタワーでの循環利用(薬品注入)
- 試験水の再利用(貯留)
- 工場内のオイル清掃(水質汚染防止)
日本スピンドル(株)
雨水貯留槽(埋設)
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新日本造機(株)呉製作所
試験水の再利用(貯留槽)

リスク管理
環境事故の発生を未然に防ぐため、各々の拠点で定期的な環境リスクアセスメントを実施しています。
また、万が一環境事故が発生した場合は、適切な対処を行うとともに事故内容を分析し、関係各所に水平展開するなど類似事例の発生や再発防止に努めています。
環境事故に至らないまでも将来的に環境事故に繋がる可能性のある事象については、「環境ヒヤリハット」として環境事故発生の防止を強化する運用を行っています。
リスク管理委員会(年2回開催)においては、当社グループにおける影響の大きなリスクを特定し、特定したリスクごとに発生頻度、発生時の影響の大きさを評価しながら当社グループにとっての重要性を評価しています。リスク管理委員会は、特定したリスクに対して対策部門を選定し、適切に管理するとともにその進捗を監督しています。
また、グループBCP基本方針を策定し、あらゆる災害への対応を強化することとしました。
指標と目標
目標(2024年度~)
- 環境マネジメント
- (グローバル)重大環境事故※1ゼロ
- 取水量削減(水使用量削減)
- (国内)2020年から2023年の平均値以下
(海外)2020年から2023年の平均値以下〔売上高原単位〕
実績
- 水質管理
- 2023年度の国内・海外拠点における重大な環境事故※1は0件でした。
引き続き水質管理を徹底します。
- 取水量削減
- 2023年度の結果は、国内は10.5%の削減、海外は12.6%の削減となり、目標達成となりました。
引き続き効率的な水の使用に取り組むことにより、目標達成を目指します。
※1:法律や条令などの規制違反を理由として罰金(1万ドル以上)、行政指導等、その他の処罰の対象となる事案を重大な環境事故と定義
