お知らせ

新蒸留システム「カラムインカラム」を花王・マレーシアより受注

2000年12月18日

住友重機械工業株式会社(社長 日納義郎)は、花王株式会社(社長 後藤卓也)から新蒸留システム「カラムインカラム※」を受注しましたのでお知らせします。このシステムは花王株式会社の化学品子会社であるファティケミカル(マレーシア)社の高級アルコール設備向けに納入されます。納期は2001年9月で、今回が本システムでの海外向の一号機となります。

今回の採用は、蒸留塔1塔で複数製品を高純度精製でき、かつ、省エネルギーである特徴が評価されたものです。従来、3成分以上の分離を蒸留でおこなう場合、蒸留塔を複数本設置することが必要でした。新蒸留システム「カラムインカラム」は、分離性能を落とさず、1塔で多成分の蒸留が可能です。蒸留塔内部を垂直に分割した構造が特徴で、塔充填物には主に規則充填物(注1)を利用しています。設置面積だけでなく、必要な機器、制御系、配管が大幅に減ることで、プラントにおける蒸留セクションの建設費の約30%が削減でき、さらに30%の省エネルギーが図れます。
このシステムはフロー集約型システム(注2)といわれ、プロセス原理は、旧ソ連時代にぺトリューク博士が提案した「ペトリューク方式連続蒸留プロセス」を参考としています。当社は協和発酵工業株式会社の化学品生産担当子会社である協和油化株式会社(本社・東京都千代田区 社長 菊地斐雄)と共同で、ペトリューク方式の工業化レベルの開発を1994年より開始し、シミュレーション方法やタワーインターナル類を開発し、新蒸留システムとして確立しました。ファインケミカル製品の高純度・連続蒸留、微量不純物除去などに有効なシステムとして注目され、現在までに5つのシステムを納入し、既に全システムが稼働しています。
当社では客先用途に応じて「カラムインカラム」のラインナップを充実させており、海外の大型の石油化学設備向けを中心にCO2削減の有効な省エネルギーの蒸留システムとして拡販していきます。

※「カラムインカラム」は住友重機械の登録商標です。

1.新蒸留システム「カラムインカラム」の特徴
  (1) 機器点数が従来の約3分の1から2分の1になり、同時にユーティリティー設備削減により、施設の省コスト化がはかれる。
  (2) 蒸留塔の本数を少なくすることで、各塔毎に行われるリボイラーでの加熱とコンデンサーでの冷却の回数を減らし、約30%の省エネルギー化がはかれる。
  (3) 3本の蒸留塔を1本にまとめることで、塔だけではなくリボイラーや制御システムもコンパクトになり、約3分の1の省スペース化を実現。


2.販売目標   年間20億円


(注1) 規則充填物:
塔内で気液接触を効率良くするための「タワーインターナル」。
充填塔には規則的な構造をもつ規則充填物とパイプ状の金属ピースなどを充填する不規則充填物がある。
(注2) フロー集約型システム:
プロセスの流れそのものを集約簡素化し省エネを図るシステムで、ペトリューク博士が提案したシステムが最良の方法であると言われている。このシステムでは多成分の分離に2回から3回の加熱、冷却の必要がなく、1回で完結できる。

新蒸留システム「カラムインカラム」