グラビア印刷機に新しいセクショナル制御技術を開発し実用化
2001年09月11日
住重制御システム株式会社(住友重機械100%子会社、本社:千葉市稲毛区、社長:児新栄太郎)は、汎用エンコーダ注1と一般誘導機注2を使用し、コストパフォーマンスを追求したグラビア印刷機用のセクショナル制御技術を開発し、実用化に成功しました。
近年印刷機は、各印刷ユニットを原動シャフトで機械的に連結して駆動する方式から、印刷ユニットそれぞれにモータを設けて電気的に制御するシャフトレス印刷機への代替が進んでいます。印刷機のシャフトレス化には(1)段取り時間の低減、(2)立ち上げ時の損紙低減、(3)原動シャフトをなくしたことによるスペースの有効利用、(4)シンプルな機械構成によるトータルコストダウンなどのメリットがあり、ヨーロッパを中心に採用が進んでいます。
シャフトレス印刷機を実現するセクショナル制御システムについては、各印刷ユニットの位相注3を完全に同期させる高精度な位相制御が必要です。このことからこれまでは高価で特殊な高分解能エンコーダ注4と同期サーボモータを使用するのが通例でした。
当社は、完全同期マルチプロセッシング機能注5と高速軸間通信機能をもつ、セクショナル対応型多軸ドライバ「System MX」をベースに、さらに独自の高精度位相制御アルゴリズムを開発したことで、汎用エンコーダと一般誘導機によるコストパフォーマンスの高いセクショナル制御技術を実用化しました。
このセクショナル制御システムは、このたび初めて印刷機メーカーへ納入し、現在2つのラインが稼働中です。当社では今後進むであろうグラビア印刷機のシャフトレス化に向けてこのシステムを積極的に拡販します。
【システムの特徴】
(1) コストパフォーマンス
高価で特殊な高分解能位置検出器と同期サーボモータが不要。汎用エンコーダと一般誘導機で高精度のセクショナル制御を実現、コストパフォーマンスを追求した。
(2) 見当誤差の軽減
加減速時の位相を操作すること(特許出願中)により、見当誤差を抑えることに成功。これにより、加減速時の損紙を大幅に低減した。
(3)シンプルなシステム構成
巻出しから巻き取りまで制御を多軸ドライバ「System MX」で統一。
同じハードウエアに統一することで、試運転調整作業やメンテナンス時間の短縮を可能にした。
(4)省スペース化
制御盤内実装面積を最大1/2(当社比)に削減した。
【用途】
シャフトレスグラビア印刷機用
【販売目標】
50ライン/年
【注釈】
(注1) エンコーダ : 回転体の変位を検出する装置。
(注2) 一般誘導機 : 一般産業向けに用いられる誘導形交流モータ。
(注3) 位 相 : 複数軸ある回LS転体の相対的な角度。
(注4) 高分解能 : 微細な誤差を認識する高い位置検出能力。
(注5) マルチプロセッシング機能 :
複数のCPUを並列に走らせること。当社の場合はCPU間をメモリ間通信し、さらにその処理タイミングをハード的に同期させる完全同期が特徴。セクショナル制御のコントローラでは重要なファクターとなる。
【ご参考】住重制御システム株式会社について
設 立 : 平成11年12月1日
本 社 : 千葉県千葉市稲毛区長沼原町826(代表(043)420-1363)
資 本 金 : 4億円(住友重機械工業100%出資)
従 業 員 : 約120名
事業内容 : 産業用サーボ制御装置、各種産業用システム、電気、電子機器及びその応用システムの設計、製造及び販売