レーザーアニーリング装置用エキシマレーザ発振器に関する技術提携
2002年07月01日
住友重機械工業株式会社(社長 日納義郎)は、SOPRA(ソプラ)社(フランス、社長: MARC・STEHLE)と高エネルギーのエキシマレーザ発振器の製造、販売に関する技術提携をしました。
SOPRA社は半導体、液晶用の計測・検査装置、分析器のほか、高エネルギーのエキシマレーザ発振器を製造する光学機器メーカです。フラットパネルディスプレイの製造に使われるアニーリング(熱処理)装置にはエキシマレーザ発振器が搭載されています。SOPRA社のエキシマレーザ発振器は、圧倒的に高いエネルギーとクラス最高のパルス間エネルギーの安定性をもつ反面、運転周波数が低いために、これまでは研究開発用途への適用に限られていました。最近SOPRA社は、運転周波数を上げる研究を行い、量産運転が可能な発振器を開発しました。この発振器は照射1回あたり15J(ジュール)のエネルギーを発生します。これは現在量産ラインに使われている最も高いクラスの1Jの発振器と比べて、格段に高い照射エネルギーです。
当社はこの量産用高エネルギーエキシマレーザ発振器に注目し提携しました。
現在のレーザーアニーリング装置はエネルギーの不足を補うためにビームをライン形状にして、少しづつずらしながら繰返し照射する方法が用いられています。このライン照射ではビームのオーバーラップ部分の品質がばらつくという問題があります。SOPRA社の発振器はエネルギーが高いために、ビームを矩形状にした業界初のエリア照射が可能です。2.8インチパネル(携帯電話の画面サイズ)のエリア全面に一括で照射し、均一な組織を得ることで、ディスプレイの大幅な性能アップが可能となります。また、生産性が同じでもレーザーの照射回数は従来の30分の1と少なく、発振器の寿命を大幅に延ばすことができ、メンテナンスなどのランニングコストが半分以下となります。
当社はすでに従来型のラインビームのレーザーアニーリング装置については国産化し、販売しています。今回の提携で、SOPRA社製の高エネルギーの発振器についても内製化し、エリアビーム照射が可能な量産型レーザーアニーリング装置「ELA-SOPRAシリーズ」として、低温ポリシリコン液晶、有機EL用として販売していきます。
今後、ライン照射とエリア照射の2つの方式を持つレーザーアニーリング装置メーカとして、様々用途のフラットパネルディスプレイに最適な装置を提供していくと共に、新商品の開発と一層の顧客サポートの充実を図ります。