国産初の4Kパルスチューブ冷凍機の販売を開始
2003年05月13日
住友重機械工業株式会社(社長 日納義郎)は、パルスチューブ式の極低温冷凍機を開発し販売を開始しました。
パルスチューブ冷凍機は、現在主流のGM冷凍機やスターリング冷凍機に比べ、低振動で静粛性に優れており、より高感度な医療機器や各種の検査・分析機器への適用が期待されています。
当社は、次世代の冷凍機としてパルスチューブ冷凍機に注目し開発を進めてきましたが、このたび、パルスチューブ式で冷却温度4K(マイナス269℃、液体ヘリウム温度レベル)を達成する汎用機を国内で初めて商品化しました。従来のGM冷凍機では振動や磁気ノイズが妨げとなって、測定・検知できなかった領域に有望で、4Kレベルの冷却が必要とされる装置の感度・分解能の向上が期待できます。また、汎用機として信頼性を高めるとともにメンテナンスが短時間かつ簡便にできる当社独自の構造※を採用しています。極低温冷凍機は、エレクトロニクス・医療・通信などの分野で用途が広がっています。当社ではこのパルスチューブ冷凍機を、世界No.1のシェアを確保している医療用MRIの冷凍機のラインナップに加えるほか、分子構造を解析するNMR(核磁気共鳴)装置や液体ヘリウムの代替として素子・試料の冷却などの用途で拡販し、さらに事業を拡大してまいります。
※特許出願中
【特長】
GM(ギーホード・マクマホン式)冷凍機は、コールドヘッド(低温部)内部の蓄冷器が ピストンのように上下動することでヘリウムガスの圧縮・膨張し冷却する構造であるのに対し、パルスチューブ冷凍機にはコールドヘッドに機械的可動部や摺動部品がありません。さらに当社では、これまでのパルスチューブ冷凍機で一体構造であったコールドヘッドとバルブユニットを分離した独自の構造を開発しました。これらにより以下の特長を有しています。
(低振動・低ノイズ)
振動をおよそ20~50分の1※以下に抑えています。また、高感度の機器に対して障害 と なる磁気ノイズを発生させることがほとんどありません。
※振動値は加速度による比較です。
(高い信頼性)
磨耗による性能の低下を抑えることができ、GM冷凍機にくらべ2倍のメンテナンスインタ ーバルを達成しています。
(メンテンス性の向上)
バルブユニットのメンテナンス時にコールドヘッドを常温に戻す必要がなく、メンテナンス によるダウンタイムを最小かつ非常に簡便に実施できるようにしました。※
※コールドヘッドのメンテナンスとしては、ガス置換を推奨しており、その場合には常温に戻す必要があります。
【主な用途】
医療用MRI、分子構造解析用NMR(核磁気共鳴)装置などの各種超電導マグネットの冷却各種デバイス・サンプル等の冷却
液体ヘリウムによる素子・試料冷却の代替用
【仕様概要】
型 式: パルスチューブ冷凍機 SRP-052Aシリーズ
冷却能力:
第1段:10W/20W at 45K (50/60Hz)
第2段:0.5W/0.5W at 4.2K
重 量:
コールドヘッド:23.5kg
コンプレッサ: (水冷式):120 kg (空冷式):140 kg