お知らせ
台湾初の陽子線がん治療システムを受注
2008年07月15日
住友重機械工業株式会社(社長 中村 吉伸)は、台湾の長庚紀念病院から台湾で初となる陽子線がん治療システムを受注しました。当社は国内において、国立がんセンター東病院(千葉県柏市)に同様のシステムを納入し、10年を超える稼動実績がありますが、海外では初の受注となります。
陽子線治療は、水素の原子核である陽子を高エネルギーに加速させ、がん細胞に集中的に照射する放射線治療法です。陽子線は一定の深さで急激にエネルギーを放出して消滅する「ブラッグピーク」と呼ばれる物理特性があります。この特性を利用することにより、がん病巣にエネルギーを集中させることができ、健全な細胞に悪影響を与えないため副作用の少ない治療が可能です。また切除手術を行わないので痛みがなく、通院治療が可能なQOL(クオリティオブライフ=生活の質)の高いがん治療法です。
長庚紀念病院は、石油化学事業を主軸とした台湾最大の企業グループである「台湾プラスチックグループ」の直営病院で、総ベッド数約7,000に達する台湾最大の病院グループです。今回受注したシステムは、治療室を4室備えた世界最大規模のシステムです。また、患者へのエネルギー照射方法にペンシルビームスキャン(*)を使用するなど最新の技術を採用しています。QOLの高いがん治療への要求は、生活水準の向上に伴い世界的にも高まってきています。この受注を契機に、アジア・北米など世界市場への営業展開を図っていきます。
* ペンシルビームスキャン=ビームを細く絞りピンポイントの照射をすることで、複雑な患部の形状を正確にトレースし、がん患部のみを照射することができる方式です。