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住友重機械工業と産業革新機構がホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に用いるホウ素薬剤を開発するステラファーマ株式会社への出資を決定

2016年03月24日

ステラファーマ株式会社
ステラケミファ株式会社
住友重機械工業株式会社
株式会社産業革新機構


 住友重機械工業株式会社(以下「住友重機械」)(本社:東京都品川区、代表取締役社長:別川俊介)と株式会社産業革新機構(以下「INCJ」)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:勝又幹英)は、がんに対する新しい治療法として期待されるホウ素中性子捕捉療法(以下「BNCT」)に用いるホウ素薬剤SPM-011の開発を推進する目的で、ステラケミファ株式会社(以下「ステラケミファ」)(本社:大阪市中央区、代表取締役会長:深田純子)の100%子会社であるステラファーマ株式会社(以下「ステラファーマ」)(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:浅野智之)が実施する第三者割当増資を引き受けることを決定しました。

 BNCTは、がんの放射線治療の一種であり、その治療法は、①がん患者にBNCT用ホウ素薬剤を投与することで、がん細胞内にホウ素(Boron-10)を取り込ませ、②体外からエネルギーの低い中性子を照射するというものです。このとき、体内ではホウ素(Boron-10)原子核が中性子を捕獲して核分裂反応(10B(n,α)7Li)を起こし、細胞1個分程度の飛程しか持たない粒子線が放出され、周囲の正常な細胞等をほとんど傷つけることなく、ホウ素(Boron-10)を取り込んだがん細胞が選択的に破壊されることが期待されます。

 BNCTは、1951年に米国で初めて実施された後、日本では1968年より大学を中心に多くの臨床研究がおこなわれてきましたが、①ホウ素薬剤にホウ素同位体濃縮技術(天然ホウ素には20%しか含まれないBoron-10を濃縮する技術)が必要、②中性子を原子炉での発生に依拠しているという二点により広く実用化することができませんでした。

 これに対し、ステラケミファが国内で唯一ホウ素同位体濃縮技術を確立し、また住友重機械が京都大学原子炉実験所と共同でサイクロトロン中性子照射システム(以下「BNCT30」)の開発に成功することでBNCTの実用化を推進する基盤が整いました。

 ステラファーマは、ステラケミファのホウ素同位体濃縮技術を基に、大阪府立大学と共同でホウ素薬剤SPM-011を開発してきました。現在、ステラファーマと住友重機械は、BNCTに対する世界初の薬事承認を目指して共同で治験を実施しており、再発悪性神経膠腫を対象とする第Ⅱ相治験の開始を既に発表しています。両社は、必要なデータが整い次第、SPM-011及びBNCT30の製造販売承認申請をそれぞれ行う予定です。なお、ステラファーマによるSPM-011の開発は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の委託開発制度による支援を受けています(課題名:「ホウ素中性子捕捉療法に用いるホウ素薬剤」)。

 INCJは、ステラファーマに対して、今後の事業推進に必要な資金を供給するとともに、社外取締役の派遣、治験推進体制及び事業開発体制の強化等の経営サポートを行います。これらの活動により、世界初の薬事承認取得を通じたBNCT療法の実用化を支援するとともに、国内アカデミアと異業種メーカーのオープンイノベーションによる革新的医療技術開発を推進します。