製紙排水を利用したバイオマス燃料製造システムを受注 ~国内最大級の嫌気性処理設備として2020年稼働予定~
2018年09月25日
住友重機械エンバイロメント株式会社(本社:東京都品川区 社長:真鍋 教市 住友重機械工業100%出資)は、大手総合製紙メーカーである大王製紙株式会社(本社:愛媛県四国中央市 社長:佐光 正義)より、バイオマス燃料製造システムを受注しました。
本設備では、大王製紙(株)三島工場のクラフトパルプ製造工程で発生する排水を嫌気性処理により浄化し、処理過程で発生するバイオガスを重油の代替燃料として工場内で有効活用することで、重油換算で年間5,000kLのエネルギー回収を実現します。
当社の嫌気性処理システム(商品名:バイオインパクト)は、お客様のニーズや課題に応じ、プロセスの最適化などカスタマイズを行っています。今回は、クラフトパルプ排水への適用にあたり、独自開発の微生物制御技術に改良を加えた専用設計の「バイオインパクトKP」を納入いたします。
クラフトパルプ排水は、メタノール成分を含み有機物濃度も高いため、一般には蒸気や電力など多大なエネルギーを使って浄化しています。嫌気性処理への転換により、これらのエネルギーが不要となることから、年間15,000トンにおよぶCO2排出量削減や操業コスト低減、余剰汚泥抑制など、大きな経済的・社会的メリットも期待されています。
なお、本事業は再生可能エネルギー活用の先導事例として、経済産業省の「平成30年度 再生可能エネルギー熱事業者支援事業」として採択されています。また、三島工場が立地する愛媛県のバイオマス活用計画推進事業としても認定を受けています。
住友重機械エンバイロメントは、今後も嫌気性処理システムの提案を通じ、製紙や化学系排水、各種濃厚廃液などの未利用バイオマスの利活用を促進し、地球温暖化防止や循環型社会の形成に貢献してまいります。
- システム導入イメージ
- 完成予想図
- ※連続蒸解釜:木材チップを釜に入れ、蒸気で温度を上げ、蒸解薬品で蒸解を行い、クラフトパルプを連続的に取り出す設備
- ※バキュームエバポレーター(真空蒸発缶):装置内を減圧して沸点を下げ、効率良く黒液を濃縮する装置
- ※好気性処理:排水中の有機物を微生物に空気を吹き込みながら分解するもので、工場の排水処理に使用されている