加速器を用いたBNCT 治療システムならびにBNCT 線量計算プログラムの医療機器製造販売承認申請のお知らせ
2019年10月15日
住友重機械工業株式会社(社長 下村 真司)は、加速器(サイクロトロン)を用いたBNCT※1)(ホウ素中性子捕捉療法)治療システムに関して、ステラファーマ株式会社(社長 浅野 智之)と共同で頭頸部がんを対象とする第Ⅱ相臨床試験を実施した結果を受けて、世界初のBNCT 治療システムとBNCT 線量計算プログラムの医療機器製造販売承認のために、先駆け審査指定制度※2)による先駆け総合評価相談を実施して参りました。
この度、切除不能な局所再発頭頸部癌及び切除不能な進行頭頸部非扁平上皮癌を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験の結果に基づき、BNCT 治療システム、ならびに、BNCT 線量計算プログラム それぞれについて、製造販売承認申請を行いましたのでお知らせいたします。
当社は、引き続き、関係者の皆様と共にBNCTの早期実用化に向けて努力を続けてまいります。
※1 BNCTは、ガンの放射線治療の一種であり、その治療法は、ガン患者にBNCT用ホウ素薬剤を投与することで、ガン細胞内にホウ素(Boron-10)を選択的に取り込ませ、体外からエネルギーの低い中性子を照射するというものです。このとき、体内ではホウ素(Boron-10)原子核が中性子を捕獲して核分裂反応(10B(n,α)7Li)を起こし、この核反応により細胞にダメージを与えるエネルギーをもつα粒子(ヘリウム原子核)とLi 反跳核(リチウム原子核)が放出されます。これらの荷電粒子は、体内ではそれぞれ約9μmおよび約5μmの飛程しか持たず、この飛程はおよそ細胞1個分の大きさに相当します。これらの特徴により、理論的には、周囲の正常な細胞等をほとんど傷つけることなく、ホウ素(Boron-10)を取り込んだガン細胞を細胞レベルで選択的に破壊することが可能となります。
※2 先駆け審査指定制度は、「世界に先駆けて、有効な治療法がなく命に係わる疾患等(希少がん、難病等重篤な疾患)に対し、革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品等を日本発で早期に実用化すべく、基礎研究から臨床研究・治験・審査・安全対策、保険適用、国際展開までを一環として国が支援する戦略パッケージ」として、平成27年から実施されています。本課題は、「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)システム」の名称で、平成29年2月29日付で先駆け審査対象品目に指定されました。